ガンの早期治療に、「癌細胞だけを感光物質で染めだし、それを目印に光をあてて破壊する」という話を聞いたことがありませんか?この治療法を【PDT】(光線力学的療法):Photo-Dynamic Therapyと言います。今月は【PDT】の歯科での応用をお知らせします。
★ガンを染めだす
例えば癌を治す際、癌細胞と、正常組織をどう見分けるか・・・これは大変重要なことです。
そこで癌や病変部を染めだしてくれる光感受性物質を使うことがあります。これにより正常な組織と癌細胞の識別が簡単にできるようになります。癌以外にもこの「染めだす」という方法は用いられ、現在よく使われる光感受性物質には、疾患により次のよう薬剤があります。
肺がん⇔レザフィリン 肺がん⇔フォトフリン
にきび⇔アミノレブリン酸 加齢黄班変性⇔ビスダイン
★PDT(光線力学的療法)とは
『光感受性物質で標的を染めだし、それを目印に光で標的をやっつけてしまう治療法』のことをPDT(光線力学的療法)と言います。光には低出力レーザーが良く使用されます。言い換えるとPDTに必要なものは、レーザーと、レーザーをあてると化学反応を起こす光感受性物質だということになります。
PDTは、正常組織にほとんど障害を与えることがなく、低エネルギーで病変部を治療することができ、レーザー光照射によって様々な病変に対して治療が可能です。
★歯科では
人のお口の中には500種類以上の細菌が生息しています。その中のいくつかがお口の中の病気
を引き起こします。代表的なのが【歯周病菌】。現在歯周病菌の退治には抗生物質投与を行うのが一般的です。しかし繰り返し腫れてしまう部位がでは抗生物質を繰り返し使用することとなり、耐性菌の問題が出てきます。
この歯周病菌の殺菌にPDTが利用されています。また、歯の根の治療や虫歯治療、親不知周囲の歯肉が腫れた時など、殺菌を必要とする多くの場面で利用されます。
LAD(Light Activated Disinfection)【光殺菌】と呼ばれることもあります。
★PDTと 抗生物質の比較
PDT ⇔
抗生物質
既に抗生物質への耐性を持った細菌にも効く
⇔
耐性菌には抗生物質は効果がない
予防のために繰り返して照射できる
⇔
症状が出ていない時には抗生物質は使用しない
局所的な処置ですむ ⇔
お薬は全身に効く